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書く習慣:本日のお題「何もいらない」

「何もいらない」ときっぱり言えることがある。
子供だ。

社会では、「結婚して子供を持つことが幸せであり、人生のゴールである」みたいな風潮がまだまだ根強い。

しかし、健康を犠牲にして子供を産み育て、「最近の親は」と後ろ指を指されながら肩を縮めて公共の場に子供を連れ出し、「毒親」と叩かれるかもしれなくても躾をして、通勤前に子供の保育園送迎をこなし、仕事から帰ってきたら食事をさせ、風呂に入れて、寝かしつけて……という生活に幸せを見出す自信がない。過酷すぎないか?

そもそも、自分が育ったのと同程度の環境を子供に用意できる自信がない。

母は専業主婦でほぼ毎食手料理だったし、おやつも手作りだった。誕生日に食べるケーキも母が焼いていた。子供がある程度大きくなってからは、夜シフトのパートで働き始めたが、それでも家族の夕食を準備してから仕事へ出掛けていき、小学生が寝る時間までには帰ってきて風呂や宿題などを見てくれていた。ちなみに父は趣味に生きるタイプの人間で、子供の目に映る我が家の運営はほぼ母一人の双肩にかかっていたように思う。「パパも色々やってたよ!」と父から抗議の声が上がりそうだが、私の記憶における父はテレビ観てるかラジオ聴いてるかの姿が印象的すぎたし、母に「洗濯物取り込んでおいて」「食器洗っておいて」と頼まれても生返事で全然やらず、帰宅した母が「ウソでしょ!?」と驚愕して我が家のミームになったくらいである。

さて、手料理で育った私は「作れと言われたらレシピを見ながらなんとか作れるものもある」という体たらくである。作れるお菓子はホットケーキや粉をお湯に溶くだけのゼリーくらいだ。作っても持て余すから全然作らないが、箱の裏に作り方が書いてあるタイプのやつならきっと作れる。人生で数回だけプリンだのカスタードパイ(ただし冷凍パイシートを使用)を作ったことがあるが、日常的に作れるスキルはない。

母は暇さえあれば絵本を読み聞かせてくれて、平日の昼間に図書館へ連れて行ってくれた。利用していたスーパーには絵本読み放題のキッズスペース的なものがあった。親戚から絵本を譲ってもらっていた他、毎月幼稚園で絵本がもらえるサブスクにも入っていた。私は無限に本を読みたがる子供だったから、買い与えていたらあっという間に我が家は破産していただろう。子供が小さいうちに「本は図書館で借りるもの」という刷り込みをしていた母は非常に賢明だった。

さて、今の私の本棚を見てみよう。見事に自分好みの趣味全開だ。居住空間を圧迫しないよう、基本的に電子書籍を購入しているが、どうしても紙の本しかなくて手元に置いておきたい選りすぐりの写真集や資料などが本棚にぎっちり並んでいる。もしも私の本棚を子供によだれまみれの手で触られたら家から追放する自信がある。

子供の頃からインドア派な私だったが、もちろん丁寧に育児をする母は私を公園にも連れていってくれた。当時はブランコが大人気で、午前中も午後も子供たちが列をなして順番待ちしていた。
母はみんながお昼を食べに家に戻る正午を狙って公園へ行き、午後イチの子供が来るまでブランコで遊ばせてくれていた。当時、私が住んでいた地方は夏でもそういう裏技が使えるほど気候がよかったのだ。今だったら親子揃って熱中症である。

……そんなふうに育てられた結果、今の自分に満足しているからこそ、「親の育児を再現するのがよいのでは」と思ってしまう。

反面、親に厳しくされた部分まで再現したら負の連鎖になりそうだとも思う。

では、自分がされたかったように「子供の話を親が受け止め、子供の『辛い』に親が寄り添う」などを子供に実行したとしよう。子供に優しくするたびに、自分の中の子供の部分が「ずるいずるい、私も親に甘えたかったのに」と喚き出して、子供の辛さに寄り添うことで自分が辛くなってしまいそうだ。

こんなことをつらつらと考え、時には人に話している。私の話を聞いた人の反応はだいたい二つに分かれる。

「そんな深く考えなくても大丈夫! 何とかなるよ」
「そこまで考えてあげられる人こそ、いい親になるんだよ」

何とかならなかった場合、生みの親の私を含めて誰も責任は取れない。
いい親になれないかもしれないという話をしているのに、希望的観測で「いい親になる」と言いきる根拠を教えてほしい。

そんなわけで、子供に関しては本気で「何もいらない」と思っているし、自分が女性でよかったと思う。「産むか産まないかは自分で決める」と言い切れるからだ。これが男性だったら「そんなこと言ってどうせ甲斐性がないだけ」などと収入の揶揄に繋げられてしまって大変だと思う。

私が今心待ちにしているのは推しの作家さんの新刊で、いつものペースならあと半年くらいで発売されるはずだ。

全てが「何もいらない」の境地に至ったら、人生から楽しみがなくなってしまうのではないかと思う。もしかしたら、全てが予測不可能な「子育て」というコンテンツを人生の彩りにしたい人が、今の少子化でも子供を望むのかもしれない。

4/21/2026, 1:57:44 AM