村人ABCが世界を救うまで

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小柄なうちのリーダーが怒り狂う時。
自分は背中に走る快感に酔う。

アレと付き合っているのか、アレは狂女だぞ。とんでもないなと先輩に尋ねられた事がある。
確かに端から見ればそう思われるかもしれない。
毎日一緒にいるし、なんなら一緒の部屋にだって寝る。死に違えても守るつもりでもある。

自分は先輩の質問にいやまさか。と、下品だが吹き出してしまった。
「そうじゃない、そういうのじゃないんですよ」
強烈に強い人だが、うちのボス…リーダーを少し軽く見積もっている節がある。

多分言っても伝わらないと思うから自分は言い訳はしない。
「別に彼女いますし、同い年の」
「まじか」
「いや、居た…かな」
「過去か。悪いな、傷跡抉ったみたいで」
いやぜんぜん…。と、手をひらひらと振って見せる。
周回の日々で時間感覚がなく、自分の中に日数とか月単位とかのニュアンスが抜け落ちているのだ。

人とはずいぶんと軽薄な部分もあるのだな。彼女という存在はもうだいぶ大昔のような気がしてくる。
「飲み屋にでもいく?いい店知ってるよ」
「いや、勘弁して下さい」
先輩の言う飲み屋はただ飲むだけじゃない。朝までのあれだ。
僕は今の崩れ落ちそうな彼女を失いたくない。側にいるだけでいい。周囲を破壊して暴れまわる彼女に添うだけ。そう、敬愛している。
これは多分誰にも伝わらない。

彼女が叫ぶ度に足先から脳天にまで突き抜ける衝動がどういう呼び名を持つのか分からない。

特別な存在

3/23/2026, 3:20:21 PM