sleeping_min

Open App

【この道の先に】(300字)

 この道の先にどんな苦難が待っていようと、決して諦めない。最後まで進みきると誓おう。
 俺は決意を胸に秘め、ぐっと拳を固めた。
 そんな俺を、学ランを着崩した集団が、ニヤニヤ顔で追い越していく。
「おいヨッシー、足震えてっぞ」
 彼らが行く先の道、スポットライトで照らされているのは、「興府高校第四回肝試し大会」と大書きされた看板。賑やかな男子たちが、看板横の真っ暗な道にどんどん吸い込まれていく。
「なにやってんの」
 隣に立った小林先生は、冷ややか目で俺を見ていた。
「そんな悲壮な涙目で拳固めるほどのものじゃないでしょ。毎年安全確認で先に一周してるくせに、吉井先生は怖がりすぎ。さ、私らもそろそろ後を追うよ」

7/4/2024, 12:40:57 AM