「…まだいるんだね」
「うん。だって姉ちゃんとしか話せないし!」
「…うん。そうだね」
土砂降りの中傘をさしながらコンビニの裏でスマホをいじるフリをして、私は"弟"と話す。
もうこの世の酸素を吸えなくなった弟に。
「姉ちゃん、何見てるの?」
「何にも見てない。強いていえば、このスマホに映った自分の顔?」
「どんな顔してるの?」
「うーんとね、とっても悲しそうだよ」
側から見れば私が独り言を延々と呟いているようにしか見えないだろう。
それでも、弟と会える雨の日は、
雨に紛れて消えていく。
誰にも聞かれない私だけの、
#2024.8.27.「雨に佇む」
創作
8/27/2024, 1:59:14 PM