Mio

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「あの子、さっきからずっとうちの校門の前を行ったり来たりしてるね」
「ね。あの学ラン、近くの中学生かな?」

とうとう噂され始めてしまった。
紺のブレザーに青と白のチェックのスカートを身にまとった女子高生たちが、チラチラと俺を見ながら囁き合っている。

耳が熱い。いたたまれない。
もう帰ろうかな。30分くらい経ってるような気がするし。

唇を尖らせて、必死に何でもない顔を作りつつ、俯きながら踵を返そうとしたその時。

「あれ?コウくん?」

爽やかな澄んだ声に、バッと振り返る。
俺の目線の先には、さっきの女子高生たちと同じ制服を着た、幼なじみのサキ姉ちゃんが立っていた。

「奇遇だねー!どうしたのこんなところで?」
「べ、別に。たまたま通りかかって……帰り道だし、ここ」
「そっか!よかったら一緒に帰らない?」

ニコニコと目尻を下げて笑うサキ姉ちゃん。
俺は赤い顔を見られまいと、無愛想に斜め下を向きながら、黙って頷いた。

「あ、あの子、サキを待ってたんだね」
「かわいいね〜。片思い中って感じかな?」

さっきの奴ら、まだいたのかよ。
俺はサキ姉ちゃんの耳に奴らの言葉が入らないように、少しだけ声を張りながら今日の出来事を話し始めた。

1/20/2023, 6:48:26 AM