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風が肌寒く感じる季節、私は彼女を思い出します。
彼女に出会ったのは新学期で、話しかけたのは私でした。私はクラスに馴染めず、数ヶ月程一人で日々を過ごしていました。
別に人と接するのが苦手な訳ではないのですが、私はどちらかと言うと誰かと一緒にいるよりも、独りでいるのが好きなだけで、全く気にはしていませんでした。ただ、少し寂しさを感じる日もないわけではなかったのです。
そんな時、彼女を見つけたのです。
彼女の名前は夢乃と言い、私はゆめと呼んでいました。容姿端麗で髪は長く艶のある黒髪、細い首に細長い胴と足。なのに頭が悪く、勉強が出来ない。話しもろくに出来ず、間抜け。ですが彼女は書き物が得意で、その表現力は人一倍高く、同じ人が書いたものとは思えない程でした。私はそんなゆめに惹かれました。
ゆめと初めて話した時の事も鮮明に覚えています。
「私、名前、夢乃。」
ゆめの話し方はまるで、言語を知らない幼児のようで、書き物は得意なのに何故は話すのが苦手なのか。私は不思議で仕方ありませんでした。私は彼女と親しくなるために毎日話しかけたり、遊びに誘ったり、一緒に行動をするようになり、徐々に仲を深めていきました。ゆめと一緒に過ごす日々は幼い子供と過ごしているように感じ、私はいつしかゆめとの関係を「友達ではない関係」と思うようになっていました。友達でも親友でも恋人でもない何か。言葉では言い表せない曖昧な関係。ゆめは私の事をどう思っていたのでしょう。この気持ちがゆめと同じだったら…などと思いながら、悶々とした気持ちのままゆめと一緒に過ごしていました。
出会ってから四ヶ月程経ち、特に変わったことも無い普通の日。いつものようにゆめに話しかけに行く途中。私はある噂話を耳にしました。

9/26/2023, 1:58:42 PM