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終点…

ちょっと懐かしく思い出してみようか…。

霧の街に住んでいた頃、木登りやポケットにどれだけ虫を入れられるかといったやんちゃな遊び仲間の1人に、大工の父がいる子がいて、多分あまり意味は無かったと思うが『お前、大きくなったら俺がお前んち作ってやるからな!』と約束された。

漫画の世界から出てきたの?と思わせるような淡麗な顔をして、バイオリンとピアノが弾ける王子様みたいな子がいて、憧れた。

初めて付き合おうかと言われて、よく解らないままバレンタインのチョコをあげてホワイトデーに可愛いキャンディを貰った。

転校先で物珍しいのもあって、遠巻きに見ているのにこっそり私の写真を撮ったり、見た目はヤンキーなのに妙にもじもじして告白はしないけど、見つめてくる人がいた。

洋楽に詳しくて、いつも仲間と楽しそうにしていて一見クールのような素振りをしつつ、笑顔が物凄い破壊力のある私が大好きだった人。

とても真面目だし、仕事も丁寧だし物腰が柔らかいから一度でいいから、一緒に食事でもしてみなよ!と紹介された人とロシア料理を食べに行ってボルシチの説明を淡々とした人。

友達の彼の友達でコンピューター関係の仕事で東京から越してきた人を紹介されて、何度か会って好きかどうかわからないままだった人。

友達の結婚式の発起人として知り合って、ひょんな事から大好きになって二股とは知らずに、どうしても諦められなかった人。

大失恋した後に、見るに見かねた友達が職場の知人と皆で飲みに行き、友達からでいいからまた会いたいと言ってくれた人。

残業で遅くまで一人で仕事をしていた時、お前まだ残ってたのか?頑張り屋だな無理すんなよと労ってくれた売り場担当の主任。

お前、そんな奴辞めろよ…俺が、言える事じゃないけど…と心配してくれた人。

落ち込んでいる時に、仕事帰りに車で迎えに来て『お〜!お疲れ!』とドライブに連れて行ってくれた人。

全て出会った場所も時代も違う人達…私に関わってくれた人達…今はもう、会えない人達。

全員、それぞれに思い出があって私にくれた言葉、場所、食べた物、飲んだ物…ふと思い出す度に、今、どうしているかな…と懐かしく思う。

異性ばかりではなく、勿論同性にも抱えきれない程の出会いと別れと今でも私を支え、私も応援し合っている人もいる。

私の終点は、今、人生を共に歩んで行こうと決めた人。

何も問題が無かった訳ではない…けれど、ここで生きて行く事に決めたから、他人同士が一緒になって同じ方向へ歩いて行けるなら、どんなに山あり谷ありでも、俯かないで真っ直ぐ胸を張って、最期の時までゆっくりと進みたい。

始まりがいつからなのか定かでなくても…
終わり良ければ全て良しなのだ。

出来れば、年老いて何もかも忘れてしまうことになっても…
明るく、笑って終点にタッチしたいと望んでいる…
私だけが、そう思っているんじゃ無ければいいのだけれど…




*読んで下さり ありがとうございます*

8/10/2023, 10:53:08 AM