間違った選択
中学生の娘が初めて夜中まで遊んだ。
俺に許可は無い、女房に許可を取り遊んだとの事。
今の時期は冬。
夜8時は物凄く暗く、田舎では危険が沢山だ。
俺「まだ中学生だしな、高校生まで我慢しろよ?」
説教をした時、分かりやすく娘は落ち込んでいた。
だけど娘の気持ちも理解出来る。
説教が終わったあと、普段は明るく無邪気な娘は居なく、話し掛けても「うん。」としか言わなくなった。
話す時必ず相槌をする娘だが、危険だからなあ、と優しく言っても相槌も何も無かった。
数カ月後、娘にこう言われた。
お泊まりに行きたい。と。
前も一緒に遊んだ子と2人で駅近のホテルに泊まりたいとの事だった。
俺は悩んだ。
子供2人で大丈夫なのかと。
だから俺は娘にこう言った。
俺「いいから、断れ。」
そう言った瞬間、娘は何も言わず自分の部屋に戻っていった。
娘が高校2年生になった頃だ。
通信高校へ進学した娘は中学の頃より友人達と遊ぶ機会が減った。
俺「最近あの子とはどうなんだ?」
娘「…………死んだ。」
俺「え、?」
娘「病気で死んだ。」
淡々と話す娘に恐怖心を覚える程だった。
そう言えば、高校に上がってから娘の笑顔も減っていった。
人形のように真顔で自分から話す事も無くなった。
娘「……お父さんのせいだよ。」
俺「、!」
娘「余命があっても私と遊びたいからって、ずっと誘ってきてくれてたのに。」
俺は間違った選択をしていたのか?
娘を守りたいから、傷付けたくないから注意をしただけなのに。
娘はそう言い、部屋に戻っていった。
その後、娘は何に対しても関心を示さなくなった。
リビングを通り過ぎる娘に
俺「今日はお前の誕生日だろ?ほら、母さんとケーキを買ってきたぞ。皆で食べよう。」
娘は言う。
娘「そんなの要らない。」
俺「何が欲しい?」
娘「……もう、何も要らない。なくなればいい。」
日に日に感情が衰えていく娘を見ると泣きたくなる。
いや、泣きたいのは娘の方だろう。
申し訳ない事をした。
その後、娘は死んだ。
最近家に帰ってくることも少なくなっていた頃だ。
俺は酔っ払いながら、娘と女房に寿司をお土産に持って帰った。
女房はリビングにいた。
俺「おぉ~ー…まだ起きてたのかぁ。」
女房「あら、お帰りなさい。」
俺「彼奴はもう寝たのかぁ?」
女房「寝たんじゃないの?私は知らないわ。」
やけに女房が冷たくなっていた。
俺「そおかあ。」
俺は部屋で寝てる娘を少しだけ眺めようかと、彼奴の部屋に入った瞬間だった。
ガチャッ、
俺「は…?」
酔いも覚めた。
娘は首吊り自殺を計った。
女房「全部貴方のせいよ。」
11/29/2025, 2:15:40 PM