しきのみや

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 入道雲が浮かんでいる。それはさながら巨人のごとく、その白い双腕を大きく広げて青空を泳いでいた。空には彼を遮るものなど何も無い。どこまでも広く、どこまでも遠く、際限なく白く在れる。澄み切った青いキャンパスの上を渡っていける。決して染まることなく、混ざることもなく、どこまでも真っ白で、雄大だ。今日も空は広く、雲は白い。そんな彼に嫉妬している。とりとめもない羨望が寄せては返す白波のごとく、思考の上をたゆたっていく。ぼんやりと仰いでいると、段々とこちらへ近付いてくるような、そんな気配を匂わせる入道雲に気付いた。入道雲は、その姿がいかに美しくあれ、とどのつまり積乱雲である。私はおもむろに立ち上がり、干していた洗濯物を急いで室内に取り込んだ。

6/29/2024, 11:59:01 AM