はとぽっぽ

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あれは、いつの話だったか。

僕が中学生の頃、いつも君と放課後の図書室で過ごしていた時期があった。
日が落ちかけた窓からは、下校時刻を知らせる校内放送と、窓を背に座る君に、赤色が差し込んでいた。
話していた内容は、他愛無い話だったと思う。
“思う”と言うのは、実は、殆どが思い出せないのだ。
あの一言以外は…
話した内容だけじゃない。
声も顔も、思い出そうにも靄が掛かったように、記憶が上手く再生されない。
だが、透けるように白くて細い手だけ。
それだけは、何故だか鮮明に思い出せるのだ。
それだけは…



思い出そうとした事も、日々の忙しさに上書きされるように時間が過ぎ、ふと思い出した頃には、僕はもう学生という期間が終わっていた。

何故このタイミングで思い出すのか…

珍しく窓際を確保出来た僕は、車内アナウンスの流れる息苦しさに、少し解放された気持ちで、ただぼうっとまだ日の上りきらない外を眺めていた。


お題 約束だよ




(お久しぶりなんですけど、時間きちゃったので、続きはまた今度
今日も一日ファイトー)

6/4/2025, 12:22:14 AM