のぞみ

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私、愛華は小さい頃に見たドラマの影響でロマンチックなプロポーズに憧れていた。


例えば、そうだな・・・・・・


夜景の綺麗なレストランでプロポーズ。

シンとした波の音が静かになる夜の海でプロポーズ。

2人の思い出の場所で「あの時、こんなことあったよね」って思い出話しをしてる時に指輪をパカって出してプロポーズ、とか。



私も将来、愛する人にこんな素敵なプロポーズされて素敵な旦那さんと一生を過ごしていきたいって、幼い子供心で憧れていた。





そして今、23歳。

私には愛する人がいる。
昨日、プロポーズしてもらって私の指にはキラキラと輝く可愛くて美しい指輪がある。


どんなプロポーズの仕方だったかって?






本当に突然だった。
ちょうど付き合って4年目の記念日。
彼とはもうそろそろ結婚したいなって思ってたけど前触れも何もないし、この様子じゃプロポーズされるのはまだ先かななんて思ってた。


記念日ということでお互い大好きなキャンプに出かけてた。
夜、夜景が綺麗なところがあるから見に行かないかって彼から言われて、2人で向かった。

向かった先は結構草が生えてて、蛇でも出てくるんじゃないかってドキドキしてたけど、
でも、

すごく綺麗な景色が一面に広がっていた。

ほんとに下は崖で落ちたら死んじゃうんじゃないかってところだった。虫ばっかりいるし。なんか、幽霊でも出てきそうな雰囲気だし。

でもそんな怖さは彼と手を繋いでいたら全くなくて。


2人で何気ない話をしてもうそろそろ戻ろうかってなった時に








「愛華ーーーーーー!」


ちょっ!




ギョッとした。

普段そんなに大きな声を出さない彼が突然叫び出したんだもん。



何事かと思ったら、




「愛してるっーーーーーー!!!
世界一愛してる!
これからも一緒に生きていきたい!







結婚してくださいっっ!!!!!」






なんて叫ぶんだもん、泣いたよ。

愛してるって大きな声で言われてちょっぴり恥ずかしかったけど何よりも嬉しかった。





そして指輪ももらって。




「はいーーーーー!お願いしますっ!!!」



私も精一杯叫んだんだ。






 






「どうしたの?ボッーとしてどっか痛い?」




突然彼の顔が視界いっぱいに広がってはっと我に返る。



「ううん、大丈夫。」

「そう?」





私が憧れてた
高級レストランでも夜の海でも思い出の場所でもなかったけど

私には世界一のプロポーズだった。



彼と一生生きていきたい。


喧嘩しても何か合わないことがあって嫌になってもおじいちゃんおばあちゃんになっても、ずっとずっと一緒にいたい。




「愛してる。」




そんな思いを込めて彼の手をぎゅっと握った。




                     end
   



5/11/2024, 11:25:00 AM