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最悪 6/6 (木).

「もう頑張ったよね。」

私は十分に頑張ったはずだ。人間関係も勉学も、家庭環境も自分自身にも部活にも。
一つ一つ向き合って、頑張った。…ただ、結果が出なかっただけ。
十分、十分がんばった。もう無理しなくていい。
そろそろ、空に昇っていい頃だ。
私はそう自分自身に言い訳して、冷たくて塩臭い、そして
どこまで寛くて青い海に足を入れた。

…寒い。

奥深く、喉元に差し掛かるまで海に入っていった。
悲しげに、チラチラと光る月を横目に潜る。
…あつい。きもちわるい。くるしい。
海底から、月を見ようと目を開けようとしたが怖くてやめた。
私の意識は、顔を深く入れた所で途切れた。

 .。o○ ○o。.𓆞 𓆜𓆛

次に意識が繫がったのは、数時間後のことだった。
医者が安堵したように、申し訳無さそうにこちらを見る。
どうでもいい話をした。くだらない話。

ここはどこですか?ここはびょういんです。
なぜわたしはびょういんに?あなたがおぼれていたからです。
だれがみつけてくれたんですか?そこのおにいさんです。
あなたをたすけるためにむちゃして、…ごりんじゅうしました。

この会話を、脳で何度も繰り返す。受け入れたくない。
ふと、隣を見ると、見知った、優しい顔のあの子がいた。
息をしなかった。眠っていて、ただ、つめたかった。
髪が、塩水で濡れていた。

『最悪』

そんな言葉をぼそっとこぼして、
この世界から逃げるように目を閉じた。

.。o○.。o○.。o○.。o○○o。..。o○

あとがき

今回は、「奇麗な鬱」をテーマに書きました。
どろどろとした鬱も好きですが、キラキラしてるのに、中身は痛々しくって、
後悔の詰まった鬱も私好みです。海も作品中に出てきたので、文中で.。o○←も
使ってみました。溺れるシーンを再現したつもりです。 
ヒエログリフも使いました。やはり切なげな作品にはヒエログリフが映える。
奇麗な鬱も、たまには良いですね。それではまた。
最近季節の変わり目ですので、風邪にはお気をつけて下さい。

.。o○.。o○.。o○.。o○ 𓆡 𓆜𓆝

6/6/2024, 10:44:43 AM