"bye bye…"
"bye bye…"とお別れする筈だったのに。
やっぱり駄目だ、手放すなんて出来ない。
棚からあぶれた本の山を、いい加減どうにかするつもりだった。
断腸の思いで、もう読まなくなった本を売りに出す為に段ボール箱に入れていこうと決意したはずなのに。
不思議なことに、一向に箱が埋まらない。
本を手に取って、タイトルを見て、表紙を見て。
本の内容は勿論、購入した当時の状況まで思い出せるものだって沢山あるんだ。
初めて自分で選んで購入したものだったり。
時間潰しで入った本屋でたまたま手に取り、思いがけず面白くてシリーズで揃えてしまったものだったり。
商業デビューからずっと追っている作家さんの本だって、置いておきたいじゃないか。
箱に入れた僅かな本を取り出し、段ボール箱を畳む。
やはり本を売るのではなく、新しい棚を買うべきだ。
きっと部屋の床板は重みに耐えてくれるさ。
3/22/2025, 3:56:13 PM