NoName

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将来の夢は、親と同じ大工だった少年が勇者に選ばれた
私の幼馴染だ

昔とは違い、今は勇者は魔王の怒りをおさめるための人身御供でしかない
つまり、彼は死ににいくのだ

わずか10歳の身に、すべてを諦めたように笑うその顔は似合わなかった
「だから、さよならなんだ」
真っ白になった頭に怒りが湧いてくる
どうして彼でなくてはいけないのか
私の夢が叶わないではないか

「さよならを言う前に、私の夢を叶えてよ」
私は彼の手を取り、誰もいない方へ走り出した
どうか、さよならが追いかけてきませんように


私の夢はね、あなたのお嫁さんになって、おばあちゃんになるまで仲良くいることなのよ

8/21/2023, 12:15:19 AM