草の上に思いっきり寝っ転がってみる。
芽吹いたばかりの緑の匂いが身体いっぱいに染み込んだ。
こうして季節をゆっくり感じられるようになったのは果たしていつぶりだろうか。
「お兄ちゃん!いた!」
向こうから弾むような声が聞こえてくる。
「ご飯ができましたよ!帰りましょう」
伸ばしてくれた手は自分よりもひとまわりもふたまわりも小さい。
切れ長だがまだどこか幼さを残す丸い瞳がまっすぐこちらを見つめてくれる。
「ありがとう、帰ろうか」
「はい!」
手を繋いで二人で歩き出す。
爽やかな風が背中を優しく押してくれる。
3/28/2025, 1:44:21 AM