Nonamae

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日差しのいい朝、いい気分で居た。
起きてからコーヒーを入れて、ちょっとくつろいで。
それからポストを見に行った。
すると宛先だけ書かれた可愛らしい封筒が入っていた。
ピンクで、花柄の。シンプルだけど可愛い封筒。
私の知り合いには手紙なんて書くような性格の人はいない。
だからとても不思議に思った。
手に取って封筒の表、裏、どちらも見たけれど差出人は書いていないみたい。
日差しの当たる窓辺で、テーブルクロスのかかったテーブルにコーヒーを置いてから手紙を開けることにした。
素敵な封筒なんだから開ける時も素敵にしないとな、みたいな使命感で。
まだ畳んであるけれどレターも凄く素敵な紙。
カサ、と開いてみる。
そこには便箋に見合わない殴り書きの文字で「しね」と書いてあった。
好奇心があっただけに衝撃は大きかった。
誰から?なんで?私が?
感情がぐるぐるぐるぐる渦巻きを作る。



人を殺した。
殺したんだ。私は。彼を。
私が彼と出会わなければ、私は彼を殺すことは無かったのに。
だから、過去の私に手紙を送った。
あえて綺麗なレターセットで。
端的に。「しね」って。

5/25/2024, 4:05:34 AM