koyagi

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小さい頃は、毎日どっちかの家を行き来して遊んでたのに。
しばらく、君と話してない。
家族ぐるみで仲が良かった。
いや、親同士はまだ仲が良い。
別に君と私は仲悪い訳じゃないけど。
話さなくなって、なんとなく気まずくて、
朝、一緒の時間に家を出て、
必然的に一緒に登校してたけど、
ちょっと時間をずらして、早く登校するようになった。
君に教えて貰えるから、苦手だけど嫌いじゃなかった数学は、
点数が下がる一方で、嫌いになりそう。
クラスが同じで、時々目が合うことがあっても
お互いすぐに逸らしてしまう。
君とのLINEも、
ずっと止まったまま。
何か文字を打ち込んでは、消すだけ。
送信ボタンを押す勇気が無いや。

苦手な数学の授業。
先生も、分かりにくいことで不評なこともあって、
結構前のどこかで躓いてわからないことだらけ。
「はいじゃぁ、プリント終わった人から休み時間な」
え。
わかんないし。
1問目の基礎問題からよくわからない。
教科書を捲っても、ワークを見ても、
隣の人の答えを盗み見てもよくわからない。
他の人達は次々と提出してる。
置いてかれている状況に泣きたくなる。
「……後で教えてやるから、とりあえず写して」
差し出される記入済みのプリント。
顔を上げたら、君がいた。
相変わらず丁寧な字。
「あ、ありがと…」
戸惑いながらも、一生懸命写す。
無事に提出することが出来た。
今日、私たちの距離がまた動いて、
止まったままだったLINEも、動いた。
なんだ、別に難しいことじゃなかったんだ。

10/20/2024, 9:24:56 AM