「この場所で」
お姉ちゃん、お兄ちゃん…何処行ったの?
怖いよ、寒いよ
戻ってきてよ
「ゔぁ〜、ぁぁ〜」
赤子の泣いている声が聞こえる
耳をよく澄まして、何処にいるかあてる
簡単なこと
ひたすら前へ前へと歩いていく
すると
「!!…いた」
目の前にしゃがむと、あの子は泣きながら、
頑張ってはいはいをしてこっちに向かってくる
「君、何処から来たの?お家は?」
なんて言っても分かる訳がない
「あう、にぃに、」
「…!」
数年後
俺は呪術高等専門学校に上がり、高校生だ
ろんかは、…ああ、そう、赤子だった子の名前だ
千兎聖ろんかっていう子らしい、元は禪院家が引き取っていたんだけど、呪力がないって言うことで捨てられたっぽい
だから俺が引き取っている
呪力がないってのは嘘で、段々と成長していくたびに
俺は、この子はちゃんとした呪力があるって分かっていた
「ろ〜んか、ただいま〜」
「おかえりなさい、」
「なんか、どうしたの?申し分ないっていう顔してる」
「え、あ、そうですかね…?」
「悩み事?」
「いえ、ちがくて…これ、」
「授業参観?」
「いえ、行けなかったら良いんです…」
「行くよ」
「本当ですか?」
「うん」
こんな感じで今は遠慮しちゃう子みたいだけど、とても可愛い!
「ろんか、」
「はい」
「ここの場所、覚えてる?」
「?」
「覚えてないよね」
「君と出会った日の場所」
「…」
ここは紛れもなくとても綺麗だった
もし、もう一度、生まれ変わったら君とここで
逢いたいな
2/11/2023, 10:58:46 AM