ネジが外れたウサギ

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『また会いましょう』というお題を見ると

米津の『さよーならまたいつか』を思い出す。

そしてあの人を思い出す。


調子が悪いと言った職場のある先輩の顔色は悪く、

今すぐにでもと早退を促したがその日も職務を務めた


本人によると胃に疾患があるらしく

死期が近いらしい。


「もう長くはない」という彼女の言葉は

本当のことだと分かっているが嘘だと思いたかった。


それから数日後。

彼女は入院のため退職した。


私は食べられないのを分かっていても

好物のお菓子をお見舞いのときに持って行った。

土産話は職場のことではなく共通の趣味の話だった。

「早く元気になってね」

そんな思いで土産話を探し回って

日替わり弁当のようにいろんな話をした。


彼女のささやかな笑顔見られるのが嬉しくて

私は時間の合間を縫ってお見舞いに行った。


ある日。彼女は私に言った。

「自宅療養になるかもしれない。

だけど、もしそうなったら家に来て。

私はあなたの土産話が一番の薬よ。

また会いましょう。また聞かせてよ」


それから半年が経つが彼女はまだ生きている。

この生活がいつまで続くかわからないけど、

私は今日も会いに行く。

私は今日も話に行く。

ネタが尽きたら別の話題を見つけて

新しい土産話のネタにする。


彼女か「さよーなら、またいつか」

と来世の再会を告げるまで私は会いに行く。

11/14/2024, 6:02:01 AM