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気温がぐっと下がりこたつから出られない今日このごろ。テレビを見ながら机にあるみかんを取ろうと手を伸ばしたら、突然隣にいる恋人がこちらを向いた。

「ねぇ翔くん」
「ん?どうしたの?」
「今からイルミネーション見に行かない?」

この寒さを知らないのだろうか。こいつは。

「えーやだよ、智くん1人で行ってきなよ」

俺は絶対この家、というかこたつから出たくない。これだけは死守しようと冷たく返した。

「なんでだよ。1人でイルミなんて寂しいだろ!」
「大丈夫だって。周りの人はあなたのこと見てないから」
「ひどっ!なんか今日冷たくない?」

ごめんね智くん。正直イルミはあんまり興味ないんだよなあ…。恋人は不貞腐れたのか、机に顎を乗せて好きでもないお笑い番組を見ている。

「しょおくん…謝るなら今のうちだよ?ほんとに俺だけで見に行っちゃうよ?いいの!?」
「あーはいはいどうぞいってらっしゃい」
「…」

ありゃ、本当に何も言わなくなってしまった。ちょっと強く言い過ぎたか…。

「いっしょに行きたかったなあ…」

目をうるうるさせてこちらを見つめてきた。自分の方が背が高いので少し上目遣いになっている。俺がこれに弱いと知ってか知らずか…。

「う…もう分かったよ。寒いから少しだけね」
「ふふ。やった」

にこっと笑った顔に不覚にもきゅんときた。



玄関のドアを開けた瞬間、家と外の温度の差に、思わず身震いした。

「うう…さむい」

ふう、と息を吐くと白くなった。

「あはは、翔くん息白いねえ」
「そういう智くんだって!」

笑いながら道を歩くのは、家にいるときより断然楽しい。たまにはこういう日があってもいいなと思った。

12/7/2025, 12:14:43 PM