「楽な方がいい、とは私は思わない。好きだからやる」
そう言ってきみは、お手製のレモネードシロップをグラスにたらした。氷と、炭酸水。マドラーでカラカラとまぜる。庭先で摘んだ名前の覚えられないハーブも乗せて。
窓辺のデスクには、ずらりと手帳にノート、ペン立てが3つ、シール収納に、ブック型ケース。
君がゆるやかな足取りで持ってきたのは、甘い香りを立てて焼き上がったオートミールクッキー。
「時短にもなるし、味や質だって遜色ないでしょ?」
「それはそれ、これはこれ」
「自分でやる意味なくない?」
手間隙掛けて、なんて昔みたいなやり方の何が良いのか全然わからない。無駄じゃん。
「別に意味なんてどうでも良くない?自分が笑えるほうを選ぶよ」
〉意味がないこと
11/8/2023, 12:37:53 PM