秋雨ノ源

Open App

【君と最後に会った日】

こんにちは
僕の記憶の中にようこそ
今回は友達の話をするよ
とても可愛らしい友達のね

彼はメジロでね
竹の鳥かごに蜜柑を入れて
罠で捕まえられた子を貰ったんだ
本当はダメだよ?

近所のお爺さんに譲ってもらってね
捕まえられたってのに
蜜柑をつばんでは
コッチをみて忙しない子だったよ

3日ぐらいしたら蜜柑が悪くなってきたからね
メジロ用の餌をスプーンですくって
餌カゴの中に入れてあげたら
中々食べなくてね焦ったよ

1日したらちゃんと食べてて
安心したんだけどね
学校から帰ってきたら
「メジー!ただいまぁ!」って

今思うと安直というかなんというか
メジーって名前おかしいよね
カーテンのレースを切って作った
布を退けて挨拶してたよ

そんなある日
夏も終わり頃に差し掛かったころ
鳥籠の下の新聞を張り替えようとした時
兄が後ろからやって来て

僕を脅かしたんだ
メジーもその時僕と一緒にビックリして
開け口から飛んでいってね...
あの時以上兄を恨んだことは無かったね

「兄ちゃんのバカ!メジーが!メジーがぁ」
って一日中泣いて喚いて
何日か兄とも会話は無かったね

まぁメジロの飼育は禁止されてるから
これで良かったのかもしれないが...

そんなある日...
ゲームをしてる時ふっと外を見ると
メジロが庭先の梅の木に止まっててね
「あれ?メジー?」

急いで駆け寄ったら飛んでいったんだけど
多分、あれはメジーだったね
確証は無いんだけど
なんとなくそう思ったんだ

嬉しかったよ
逢いに来てくれて
最後に会ったのはその時だけど

あれから20年
もう生きてないだろうけど
また逢いたいと
たまに想うよ

メジー



*メジロの飼育は禁止されてましたが、
私が学生の頃、メジロ缶という餌が売ってありました

6/26/2024, 11:25:37 AM