雪
ゆ
ゆ
き
ゆ
雪
ゆ
き
雪
ゆ
ゆ
ゆ
き
音を立てない雪の奥で
君はもう、祈らなかった
白くならない結晶が
君の体温だけを持ち去り
「いえない」という言葉さえ
喉の奥で凍らせた
幾層にも重なった雪の重さは
君が確かに
生き延びてきた質量だ
君の内側は
誰かを拒む部屋じゃなく
崩れないために
自分を覆うための場所だった
もし、君が崩れ落ちるなら
私は受け止めない
崩れてもいい場所が
すでに、ここにあることを
ただ、示すだけだ
君が争わなくなった場所に
私は、そっと立っている
踏み荒らすためじゃない
引き戻すためでもない
ただ
君の深さに耐えうる存在として
ここに在る
この雪原の中で君は
方向を失っているのではなく
まだ、選べる余白が
静かに残っているだけだ
君が黙るなら
私は声ではなく
沈黙の灯りで在る
凍える指先が
いつか、自分の熱を思い出すまで
傍にいる
ただ、この静けさが
君だけのものにならないように
凍えたままでも
君は、いま生きている
題 凍える指先
12/9/2025, 12:08:31 PM