「カサブランカのネタバレ」
「君の瞳に乾杯」とかもう古すぎる気障な台詞が印象的な古い映画を思い出した。
あの映画のヒロインは若く美しく無垢でそして愚か。この最後の愚かさを理解するのに、女は随分と歳月を費やした。
志それを愛だと思った若い女は、革命の獅子を夫に選んだ。ただ、好きにならずには要られないという、衝動的な若い情熱に満ちた熱を酒場の男から教えられるが、勇気が持てず躊躇し志を選び、密かに密約した列車に乗らなかった。
時は過ぎゆくままに流れ再び再会した二人はやっぱり惹かれ合い恋に落ちる。
今度こそはと、彼女はその美しい瞳に涙を溜めて男を見つめる。
「君の瞳に乾杯」はそこで生まれる使い古されたような気障な男の台詞だが。
そこからカサブランカ・ダンディは生まれた。
ボギーあんたの時代はよかった
男のやせがまん粋に見えたよ♪である。
べつに、虐待でもなんでもないのである。
想い出ばかり積み重ねても
明日を生きる夢にはならない
男と女は承知の上で
つらい芝居を続けていたよ…
男は女を連れて行かなかった
同士と共に生きろと、彼には君が必要で君は彼を支えることが出来ると告げ、政府に追われる革命の獅子と共に生きろと諭すのである。
確かに、男のやせがまんが粋に見えるのである。
阿久悠は流石だ。
二人を逃がした男は、何も喪わせたくないと願った女の瞳に映っていた自分の姿、男はそれを守りたかったのではないだろうか?そのためにつらい芝居もやせがまんもする。その気障が粋に見えた時代の恋物語は、互いの目映る自分の姿を守れるかという純粋さを今に伝えているのではないだろうか。
君の目に棲、君の目に映る、自分を嘘でもやせがまんでも守る。
それも、ひとつの愛し方愛され方なのかも知れない。
もう一度、君の目が見たかったと最後の最後に呟けたなら、この上ない幸せなのかも知れない。
最後に君の目を見つめたら、君が見たわたしが映っていた君が見た全てのものと共に。
ちょっと手直しの再投稿。
2024.4月6日
心幸
4/6/2024, 11:57:42 AM