貴方の居ないこの場所に貴方が一等愛していた虹が上がる。
貴方は世界の色を愛していた。
道端の草の色でも、
そのあたりに落ちているような石の色でも、
ただの蛍光灯の明かりの色でも。
「空はいつでも同じ色がない。あれはこの世で最も色の自由なパレットなんだ。」
そういうようなことをよく言っていたのを思い出す。
生憎、私は1型2色覚(赤色盲)というもので
青と黄色くらいしか見えなかったが。
それを貴方は黄色と青を感じる事に特化した素晴らしい目だというものだから
可笑しくって仕方が無かった。
それが私にとって一等嬉しかったのも含めて
可笑しくって仕方が無かった。
今日は貴方のいなくなった日。
棺のあなたへ黄色のマーガレットと青の薔薇を贈る。
私にとっての虹を少しは共有してやろう。
今度は色覚調整眼鏡をかけて虹を見る。
七色の、いつも貴方と見た虹が橋のように架かっていた。
2/22/2025, 10:28:02 AM