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冬は一緒に飾りつけをしよう。
クリスマスの大きなもみの木に。

「クリスマスツリーなんて、大っ嫌い!」
とメリーは言ったよ。
だって、お母さんがプレゼントをくれないんだもん。
メリーは知っていた。
サンタクロースが両親だってことも。
貧乏な家には、プレゼントがやってこない理由も。
そりゃ、五歳ぐらいの時には、枕元に靴下を吊り下げて思ったさ。
(明日になったら素敵なプレゼントが、絶対詰まってるんだ!)って。
でも、クリスマスの朝、お母さんは怒鳴ってこう言った。
「本当にもう、いけない子! サンタクロースってのは、親のことなんだよ。そんな夢なんていつまでも見ていないで、仕事を手伝いなさい!」
ってね。
それで、メリーは末の弟を、背中におぶったよ。
そして、八歳の朝。
初めて彼女はクリスマスプレゼントをもらいました。
叔父さんがやって来て、メリーを養子に迎え入れるというクリスマスプレゼントを。
それは、メリーにとって、新しい幸せの扉を開ける鍵でした。
そして、メリーの波乱万丈な、人生の始まりでもあったのです。

12/19/2023, 3:47:12 AM