花とコトリ

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「僕と一緒に」

いつも
僕の足元には、クロがいる。

黒い小さなかたまり。
日光を浴びて、毛がキラキラする。
朝、僕が目を覚ますと、もう彼はそこにいる。
じっと、ベッドの横で待っている。

顔を洗うときも、パンをかじるときも、
彼は影のように、
僕の後ろについてくる。

公園まで散歩に行く。
クロは僕の歩くペースに合わせて
軽やかに走っていく。
まるで、僕の足が伸びたみたいに。

たまに、他の猫に気を取られて、
リードを引っ張る。
それも、愛おしい。
楽しそうに揺れるクロのしっぽを見て、
僕も、笑顔になる。

家に帰って、ソファに座る。
クロは静かに、
僕の膝に頭を乗せる。
その重みが、心地いい。

言葉は交わさない。
でも、お互いの存在は確かめ合っている。
僕の世界のすべてを、
彼は知っているかのように、
じっと、僕を見つめている。

クロがいるから、
僕は一人じゃない。

僕といっしょにいる時間が、
クロにとって、かけがえのないものだといいな。
そして、僕にとって、
クロがいる日常は、
なにものにも代えがたい宝物だ。

9/24/2025, 9:28:48 AM