ゆりち

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「短冊、何書こうかな?」

学校で今年初めて七夕ように笹が設置された。
たくさんの人が参加していて、飾りつけや短冊が
どんどん増えていく。
1人2枚まで短冊を書いていいから、思ってたよりも
たくさんぶら下がっている。

それを見ながら私は短冊に書く願い事を
決められないでいた。

「お金が欲しい」
「推しと会いたい」
「恋を叶えたい」

そういう願いを書いた短冊が多い。
確かに共感はできるけれど、私は
そういうことを願おうとは思わなかった。

お金は別にいらないし、推しとは毎日会ってるし、
恋は叶わないって最初から決まってたものだから。

なら、何を願おうか。

1つ目は悩みに悩んで
「みんなの願いが叶いますように」
って書いた。
みんなの短冊はすごくキラキラしてて、
青春だなぁって思うものとかが多い。
私はみんなが笑顔になってくれたらいいかなって
思ったから、この願いにした。

2つ目は全然思いつかなかったけど
推しであり好きな人でもある人のことについて
願い事を書くことにした。
「〇〇〇先生がこれからもずっと
     笑顔でいられますように
     健康に過ごせますように」
先生はゴールデンウィーク明けから約1ヶ月ほど
体調不良で休んでたから、健康でいて欲しいなって
願いを込めて書いた。
もう1つは、先生の笑顔が大好きだから、
これからもその笑顔を見たいから願うことにした。

そして放課後。

私は先生と一緒にみんなが書いた短冊を見ていた。

少しすると、先生は私の書いたものに
気づいてくれた。
名前を書いてなかったのに気づいてくれたから、
すごく嬉しかった。

先生は「ありがとっ!!」って
満面の笑顔で言ってくれた。

金曜日だったから疲れてたけど、その笑顔で
全てが吹き飛んだ気がした。


本当に願いが叶えばいいな。
初めてそう思えた七夕の日だった。




#七夕

7/8/2023, 8:53:43 AM