気分屋の鮭

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クリスマス私が大好きなイベントに近づいていた。
家からすぐそこの教会で、行われるクリスマス会
それが私の誕生日よりも大切なイベントだ。
いつも幼馴染のあやと一緒に近くの
小学5年生のハンドベルを見るのが幼稚園からの恒例だ。
子供達が一生懸命自分の番はまだか、まだかと
緊張している様子が見て取れる。
無事、演奏し終わった後の嬉しそうな顔は
何度見ても愛おしい。
私も、一度あそこに立ったことがある。
小学生のほとんどの記憶は忘れた私だが、
このことは鮮明に覚えている。


私が小学5年生になった時、
園児の頃から憧れだったハンドベル隊に入った。
小さい頃は振るだけであんなに綺麗な音が鳴る不思議なおもちゃだと思っていた。
これが『ベル』と言う名前なのも知らなかった。
先生がフランス語で美しいと言う意味だと
言っていて当てはまっていると喜んだものだ。
あやも同じく、ハンドベル隊に入ってそのことも
とっても嬉しかった。
私「あやちゃん一緒に頑張ろうね!」
あや「うん!」
私たちは一生懸命練習した。喧嘩はなかった。
皆仲良くしていた。
今大人になって考えるとすごいことかもしれない。
クリスマス会当日は、見事に成功した。
嬉しい以外の言葉が出てこないほどだ。
あの、繊細な音なのにあんなにも暖かくなるのはすごい。私の大好きな空間だ。


後2日、クリスマス会がある。
もちろん今回もあやと行く。
だけど2人でじゃない4人でだ。
あやのお腹の中の子も一緒にだ。
双子ちゃんらしい来月には産まれるそうだ。


小学生達が教会に入場してくる。
あの繊細な音が響いてくる
それはまるであやと双子ちゃんを祝福しているような暖かく包み込むような音に聴こえる。
あぁどうかあやと双子ちゃんに祝福がありますように私はこの音に願った。
これはベルの音だ。

12/20/2023, 1:31:33 PM