茶園

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短い小説 『太陽の下で』

 記録的な炎天下。強い朝の日差しに照らされ、私は起き上がった。窓を開けると、大きな太陽が空に上がっていた。記録的に大きい太陽。これは新しい天体ショーか何かか。

 外に出たらあっという間に日焼けしそう。でも、こんな滅多にない日に出かけないなんて、なんだか勿体無い。私は日焼け止めを満遍なく塗り、日傘を持ち、思いっきり外に出た。

 走っている姿を、まるで太陽が追いかけているかのようだ。遠くから見れば、きっと太陽の中にすっぽりと私のシルエットが収まっていることだろう。それにしても暑い。当たり前だが。
 途中で丘を見つけた。太陽をもっと間近で見れると思い、登ってみた。
 大した変化はないが、只、下は崖でその先に広がる森林が煌びやかに輝いていた。

「どいて」

 突然、後ろから声が聞こえてきた。振り返ると若い女の人がこちらに近づいてきた。私は即座に丘を下りると、女の人は丘を登り、太陽を見上げた。
 女の人は、両手を上げ、組み、地面に片膝付けて祈りだした。
 何を祈ってるか訊くと、女の人はこちらを見ずに答えた。

「この太陽、年なのよ」

 星は年を取ると膨張する。聞いたことある話だがこんなに一日で老けるのか?

「これは何かおかしいとあたしも思う。でも、原因は何となく、分かる。多分、あたしたちが宇宙に行けるようになってから、色々なことをしてきたと思うの。太陽も、たくさんいじったからじゃないかしら」

 だが、私は逆のことを考えた。今まで太陽が寿命が近いのを隠して、アンチエイジングさせてたのではないかと。そしてその限界が来たのではないかと。

 すると女の人は下を向いているようだった。本当は分かっていたのではないのか?

 私は女の人の横に立ち、自分も涙を拭い、一緒に太陽の下で祈った。

11/26/2022, 4:23:16 PM