月凪あゆむ

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真夜中

 夏のサンタクロースほど、暇な者はいないだろう。
 そりゃ、だって。
 彼らの仕事は、正直夏にはないも等しい。

 そんなこんなで。
 今日も今日とて、サンタクロースは真夜中に宴を開いていた。
 とはいえ、サンタクロースは年齢的にも「おじいさん」にあたる。酒もほどほどにせねば、命も縮むというもの。

「いやー、最近のノンアルコールは、すごいのう」
「いやいや、やっぱり本物の酒が一番じゃよ」
「しかし、これならいくらでも飲めそうではないか」
「まあ、今季は暇じゃから、二日酔いをしても、バチは当たらんじゃろう」
「ほぉっほぉっほぉ。それもそうですな」

 その姿を、トナカイたちは小さな隙間から眺める。
「また、サンタのじいさんたち、お酒飲んでるよ」
「子供たちは、到底想像もしてないだろうね、サンタクロースの泥酔姿なんて」
「あれ、でもあれって、ノンアルなんだよね? なんで二日酔いとか言ったり、ほんとに酔っ払ってるの?」
「そりゃ、キブンってやつじゃないかな」
 トナカイたちは、思う。
 
 なんと、ロマンのないことか。

5/17/2024, 10:01:12 PM