ゆりあ

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突然の君の訪問

突然の訪問。誰かと思ってドアを開けてみたら。珍しい事もあるもんだ。こうしてわざわざ放課後、俺の家に来るなんて。

「…何かあった?」
「…ん、ちょっと。…家入っていい?」
「どうぞ」

そう言い、俺の部屋へと連れて行く。部屋に入って暫くの間、お互いに無言だった。
普段はお互い黙っていても何も思わないというか、それが寧ろ心地いいというくらいなのだけれど。…どうにも、今はコイツの事が気になって仕方がない。

「…なぁ、俺の事、好き?」

不意に口を開いた。…と思ったら、随分と突拍子もない事を聞いてきた。

「…急だね。…不安になった?」
「質問に答えろっての。…どうなの」

いつもの自信過剰なコイツからは想像も出来ないくらい、弱々しく、か細い声でそう言う。

「好きに決まってるだろ。…言わせるなよ」
「そう…。…そっか。ありがとう」

そう言い、はにかむ。突然やってきて聞く事がそれか、とも思ったが、…まぁ、コイツが満足ならそれでいいか。と思い直す。

「…キスでもする?」
「…ん。何気使ってくれたの?あんがと」
「それもあるけど。…俺がしたかったの。」
「えぇ?何それ可愛いな…落ち込んだ甲斐あったかも…んじゃ今日は甘々デーって事で」

いつものような笑顔を俺に向けながら、言葉を並べる。こんな顔に俺は弱い。

「…はいはい。…するならしろよ。」
「押し倒していいという事?最高か?」
「…お前もうちょっと落ち込んでた方がよかったんじゃないの?」
「はぁっ!?愛しの彼氏様に言う言葉がそれかよ!」
「嘘だって。ごめん。…大好きだよ」
「…そういうことすんの?お前がその気なら俺も容赦しねぇからな。」
「…好きにしろ」

突然の君からの訪問。驚きはしたが…こういう甘い時を過ごせるなら、まぁ悪くはないのかな、なんて思ってしまった。

…何があったか、俺は聞かないからな。
言いたくなるまで待ってやる。

8/28/2024, 4:24:49 PM