君と最後に会った日のことは、正直、今ではぼんやりとしか思い出せない。
ある日、突然いなくなってしまったから。
明日もまた会えるんだろうと、当たり前に考えていたから。
放課後、毎日近所の野良猫たちに会いにいくのが日課だった。
最初こそ警戒されていたものの、毎日根気よく通って、猫じゃらしなんかも使っているうちに、撫でさせてくれるくらいに仲良くなっていた。
「おはよう〜!みんな今日もかわいいね!」
から始まって、猫じゃらしで遊んだり、ちょっとうたた寝したり。
そんなひと時が宝物だった。
「また明日!」
そう言って、いつものようにその日も別れたんだ。
次の日、同じように会いにいくと、数匹いる猫のうち、雉虎猫だけがいなかった。
その時は、偶然いない日なのだろう思った。
……思い込むことにした。
猫たちは気分屋なので、日によって誰かがいないことなんて、今まで何度もあったのだから。
それでも、心の中にぼんやりとした不穏な感情は残った。
それ以降、その猫に会えることはなかった。
猫じゃらしが好きで、いちばん最初に仲良くなってくれた子だった。
君と最後に会った日に戻れたなら、もっとできることがあったのかもしれない。
お題『君と最後に会った日』
6/26/2024, 11:38:46 PM