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気がつけば雨が降っていた。
「いつの間に…」
口から言葉が漏れる。
誰に聞かれることなく溶けると思っていたそれは、しかし耳に入ったようだ。
「2時間前」
後ろを振り返ると、そこにはたくさんの花束を抱えた同期がいた。
「どうせなら快晴の日に送ってやりたかった」
そう言って彼は先程の俺と同じように自分の隊員だった人たちの上に花束を置いていく。
ちゃり、ちゃり、となるドックタグはきっと今までこいつに命を預け、帰れなかった隊員たちのタグ。
「お前、ドックタグどれか分からなさそうだな。」
俺が静かにそういうと、そいつは笑って
「ああ、そうだな」
なんて、返した。
僅か吹いた風に白の花びらがまう。
嗚呼、泣いているのは、空か、俺たちか。

9/16/2024, 11:17:49 AM