ストック1

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人々は度重なる災禍に、星が我々人類に怒っているのだと言った
そうして、母なる星に願って、願って、願い続けた
ただ、怒りを鎮め、平穏であれと


……バッカじゃねーの?
願う前にやることあるでしょうよ
災禍への対策とかさあ
あと君たち、怒られるようなことした記憶があるのかね?
私にはないよ
だいたい、星に意思なんてないよ
あるのはただ、この星を形作る諸々だけだよ
でも、私の話に誰も耳を傾けないどころか、狂ったやつ呼ばわりしてくるんだよね
私から見たら狂ってるのは君たちですよー


とか言ってたら、謎の空間に招待された
星の意思に
冗談でしょ?
曰く

「ごめん
私は生きてるだけで色々な現象を起こしちゃうからさあ、自分じゃどうにもできないのよ
災禍って私の生命活動の副作用みたいなやつで、これ止めると死んじゃう
ああ、別に怒ってないよ
君たち、まだまだ文明レベル低いから、汚染とかしてないし
仮にしてたとしても、私は自然の管理者じゃなくて、ただの土台だからねー
生命が死に絶えようが君たちが愚かにも自滅しようが知ったこっちゃないのね」

じゃあなんで呼んだのって話だけど、それはひどくどうでもいい理由だった

「君ってさ、他の人類と違って超自然的なものとか全く信じないじゃん
珍しくて面白いから、からかってやろうと呼んだわけ」

星の意思ってこんなふざけた性格してたんだー、おもしろ

「まあ、ちょっと私と話しをしてくれれば、お礼に特別な力を与えてあげるから、それで災禍から人類を守ってあげなよ」

おおっと、ここで救世主になるチャンス到来?
別に英雄視されたいわけじゃないけど、人々を助けられるなら悪くない
私は承諾し、そこそこ長い時間、それはそれは楽しく星の意思と喋り続けましたとさ
で、災禍の脅威を無くした暁には、がんばったで賞としてもうひとつのプレゼントをくれるらしい


──十年後
私は見た目や体力、頭の回転の早さが、力を与えられた当時の若さを保ったまま、頭の中をめぐる星の知識をもとに災禍対策を続けていた
そして、ついに災禍絶対予防魔法テラグレイスを安定して構築する仕組みができた
あー、やりきった
これで私の役目は終了だ
などと感慨深く大地を見ていたら

「約束通り、プレゼントをあげるよ」

と星の意思の声が頭に響いた
ああ、そういえばそんな約束あったっけ
今まで忘れてた

「今までの不老はお試しだったけど、君を本当の不老不死にしてあげたから、人類の行く末を見守りつつ、ヤバそうならちょくちょく軌道修正してあげなよ
君はともかく、ほっとくと彼ら、自滅しそうだから
ま、私はどうでもいいけどね」

あー、マジすか
私は星に願う
十年くらい休みをください

「私はかまわないけど、今すぐに滅亡はしなくても、今君がサボったことが原因で数百年後に滅ぶ可能性もあるよ?」

なんと愚かな人類か
などと愚痴りつつ、私は自分を含む人類に強い愛着があるので、滅亡しないよう頑張ることにした
やれやれ

2/10/2025, 10:54:37 AM