紫蒼

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神様が舞い降りてきて、こう言った。


「俺が君の神様になってあげる」

「だから、もう苦しまなくていいよ」

「だって、君を苦しませるヤツなんてもう居ないんだから」




***


ハッと目が覚めた。
久しぶりに神様の夢を見た気がする。


小さい頃、所謂ペットとして悪趣味な金持ちに飼われていた時があった。
痛くて、苦しくて、もう何が何だか分からなくなった所に一人の神様が現れて、「神様になってあげる」と甘い呪いをかけていった。
手のひらに乗せられて感じた初めてのピースメーカーの重みは今でも覚えている。



もう、苦しくない。
もう、痛くない。

だって俺は自由だから。



「かみさま…」


祈るように見上げてももう神様は居ない。
小さな小さな、俺の神様。
神様は二度も子供を助けないだろう。

月明かりが射し込む部屋で、そっと目を閉じる。
もう一度、眠ろう。
今度は神様の夢じゃなくて、しあわせなゆめを。

7/27/2022, 7:36:00 PM