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真っ暗な暗闇。前も後ろも上も下もない。
しかし落ちる訳でも、下がる訳でもない
留まる。床の感触は多少ある。
歩く。歩く度に不安が残る。
でも、どこか心地よい。
ダメだ、このままでは、暗闇に堕落してしまう!
批判も賞賛も、悪口も褒め言葉も、肯定も否定もない。いや、そもそも言う相手がいない。
そんな空間に、1人だけの空間に心地良さを感じるのは、やはり狂っているのだろうか。
影の見えない地面に心地良さを感じ、果てない暗闇に不安を感じ、写すものは何も無い。だから、死んだのか生きてるのかも判断がつかない。
生きてるのか、死んでるのかなんて考えずとも、時は進むのだ。
だって、生きててもいずれ死ぬんだ。生死を考えずともいい。そうだろう?
壁の感触はなく、果てもない。このままでは狂ってしまうぞ。人の行動基準が欲望なら、これは……私の欲望?いや、狂いそうなほど苦しい。
助けてくれと叫ぶのはもうやめた。届かない。
ここは、私の心か?

そんな夢を見た。
「散歩をしよう」
そういうと、歩く。真っ暗な空間ではなく、どこか何となくたどり着く所とか。

お題:ここではないどこかへ

6/28/2022, 9:38:59 AM