日見しぐれ

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#05 誇らしさ

ある時、上司が自慢げに話しだした。

「私は昔、○○ってお店の料理長を任されていたんだよ」

そうなんだ。としか思わない。

初めて聞いた時は驚いたりもしたけど
もうこの話を何回も聞いている。

あの日の栄光を語っていたって
何かが変わる訳でもないのに

その時はさぞ周りからも慕われていたんだろう。

しかし、今はどうだ。

手際も悪く、終いにはお客様に対して文句まで言い出す。

腕が確かなのは相違ない。

でも、過去のことを誇りに思っていたってただの自慢にしか聞こえてこないのは何故だ。

ある時、自分の教育担当の先輩の噂を耳にした。

その先輩は数々の賞を受賞している他、
三ツ星を取った事のある実力者であったという。

でも、その先輩からはそのような話を
一切聞いたことがなかった。

その時から思った。

「本当にすごい人は自分で誇りに思っていても
周りに言いふらすようなことはしないんだ」と。

自分で自分を認められる人ほど
自分を高めることができるのだ。

そんな先輩に教えていただけるのは
とても誇らしいことだと気付かされた。


しぐれ

8/16/2024, 3:02:52 PM