アルメリア

Open App

〘待ってて〙 

『ずっと待ってるから。』
 君はそう言ってくれたけど、私が帰ることができる保証はなくて返事はできなかった。気がつけば、1、2、3、……年、長い間君を縛っている。
 
「では、◯◯さん、ゆっくり腕を上げてください。はい、そうです。痛くないですか?では、今度は同じ速度で下げて........」
 一旦の帰宅後も病院での生活は相変わらず単調だった。白い壁面に、白いカーテンに、白いベッド、白の包帯、白一色で統一された四角い箱はかつて私から感情を奪い去ったので、一時は恨んだこともある年代物だ。それに悔いがあるわけではないけれど、最近はどこか物足りなくて堪らない。近い表現でいくと欲がないで、けど唐突に欲しくなる瞬間もあって、悲しいはずではないのに急に涙が出たり、気がついたらひとりで話していたり、笑いが止まらなかったり、いきなり同様する私は明らかに挙動不審だ。
 単純な話、私の病気が治ることはなかった。なのに、生きたい、君の隣にいたいと思ってしまった。だからこんなにつらいのだ。神様がいれば、笑うだろうか、花ともいえぬ雑草が人に恋したなど。


 外には雪が降っている。
病室には誰も訪れない。渡り廊下に音の響かないのとは対照に私の息は粗くなるばかりだった。誰か呼ばないと、誰か呼ばないと、だ..れか....ナースコールに手を伸ばすも届くことはなかった。

 最期に君の幻覚が見えた。必死に私の手を握ってなにかをいって....い..る...。ね、泣かないで。あの日みたいに笑ってほしいのです。

2/13/2024, 1:12:19 PM