子供のように
ー子供のように泣き喚けるなら泣き喚きたい。ー
最近、そう思うことが増えた。
私は戦闘員を務めるようになって早四年。
少佐にまで上り詰めた。
…だが、そのような成果と逆行して私の心はどんどん暗くなっていった。
私は戦闘員になることに特別嫌悪感があったわけではなかった。
でも、だからと言って戦闘員になりたいとも強く望んだわけでもなかった。
…家業を継ぐようなものだ。
なんと古臭いのだろうか。
だが、先程の通り私は戦闘員になること自体は嫌ではなかった。
…四年前まで付き合っていた恋人の側を離れることが嫌だったのだ。
別に離れなくてもよかったと思う人もいることだろう。
しかし、私は「どうしても離れなければならない」と思ったのだ。
…私が血に塗れた姿をあの人に見せたくなかった、その醜い姿であの人の横に並んでいられる自信がなかったから。後、単純に彼に危害が及んで惜しくなかった。
…だから、離れた。
あの人に何一つ言葉を残さずに。…いや?置き手紙ぐらいは残したな。
こんな自分勝手な事しておいて感じることがあった。
…「離れたくない」と。「追いかけて来てほしい」と。
そんな思いを四年間抱えながら仕事に務めてきた。
もちろん業務に支障は出さないように。
…そんな日々を続けて、しんどくなって。
でも、義務を果たさなければ生きてはいけないから頑張って。
こんなことを繰り返していたら、恋人の顔や仕草などが頭をよぎって恋しくなった。
…会いたくなった。
「彼に会いたい。」と思いながら今日も仕事をこなすと…見慣れた姿が私の視界に捉えた。
…彼だ。
「なんで? どうしてここにいるんだろう?」と考えていると彼は私を見つけるや否や私を抱きしめた。
…「やっと見つけた。ここまで来るのに四年もかかっちゃった。」なんて言わないでよ。
『どうして会いに来たの?』
「俺に置き手紙だけ残して去っていた理由を聞いて、もしうまくいけばまた、恋人関係に戻りたい…いや、結婚したいって思ったんだ。」
…なんて能天気な人なんだろう。私を見つけ出せなかったら、見つけ出しても話さなかったらどうするんだ。
「…軍人をやるから離れていくことを決めたんだね。
俺が被害に遭わないようにって…危険なことから遠ざけようと、守ろうとしてくれたんだよね。」
…なんで分かってくれるの。
『…それだけじゃないよ。血に塗れた姿…見せたくなかったの。…血に塗れた姿で貴方の隣を歩くことに罪悪感があったの。』
…本当は一緒に居たかったの。
「…だから、離れたんだね。」
『…っ、うん。』
…涙が出て来そうだ。
「…ねぇ。俺さ頼りないかもしれない。君の心遣いを無視するような選択を取りたいと思ってるようなことを言うんだけど…聞いてくれる?」
…私は無言で頷いた。
「…国の平和を守る誇り高い貴方のそばに居させてください。俺は貴方よりも弱くきっと頼りない。けれども、貴方をそばで護りたい。…どうか結婚してくれませんか?」
…なんで私の欲しい言葉を言ってくれるのか。
『…もしかしたら、っ…貴方とずっとそばに居られないかもしれないよ?…っすぐ死んじゃうかもしれないんだよ?…っ、いいの?」
『…居られなくなる状況をまずつくらないようにするよ。…後、君がすぐ死ぬことになっても、俺はずっと自分が死ぬまで君のことを想い続けるよ。」
…私はその言葉を聞いて涙が溢れた。
『っ……、ぅ…ふ…不束…っ、不束者ですが……っ……よ…っ、よろ…、しく……っ……ぅ、…お…おねが…っ、ぃ…します…っ。』
…彼の言葉に返事をした後、私は子供のように泣き喚いた。
10/13/2024, 12:54:40 PM