すぎもと

Open App

 人生に絶望していた時、君が私に言ったこと────言おうとしていたこと。

 あの夢の中、私と君は学校の屋上に座っていて、二人で曇天の夜空を見上げながら話していた。
「私、もう生きたくないんだよね。」
「何があったんだよ。俺でいいなら聞くぞ。」
「んー・・・親友だと思ってた人に裏切られたり、やって提出した課題を『出してない』って言われて怒られたり、突然知らない人から『謝ってよ!!』って怒鳴られたり・・・」
「本当に何があったんだよ・・・」
君は少し考えた素振りをしたが、やはり答えは出ないらしい。そりゃあそうだろう。その人は、クラスメイトの、他のクラスにいる友だちだったんだから。それを君に言うと、「意味わかんねぇよ。何に謝れって言うんだよ。つーか言いたいことがあれば自分で言えよ。」とため息を吐いた。私はそのクラスメイトと話したことがないため、何に対しての「謝れ」なのかは分からないということも言うと、尚更君は呆れたような顔になった。
 「つまり、あれか?周りの人が頭のおかしなやつしか居なくて疲れるってことか?」
「んまぁ、そうなんだけど・・・でも、私、怖いんだ。私の一言や私のミスで、誰かを傷つけたり、迷惑かけちゃったりするのが。それにさ、勉強とか、人間関係とかでも結構劣等感感じちゃうし。・・・ねぇ、助けてよ。一緒に逃げようよ。」
ねぇ、助けてよ。一緒に逃げようよ。口からそれらが滑りでても、君は怒らなかった。
「そうだな────」

 そこで、目が覚めた。
 世界は残酷なほど明るくて、鳥が楽しそうに囀りをしている。
 その時、私は絶望した。隣に君は座っていないし、夜の屋上でもなければ、ここは朝の自分の部屋である。
 でも、しばらく日が経った今ならわかる。
 あの時、君が言おうとしたことの答えを知るために、私は生きているのだろう。
 今日も、答えを見つけられないまま────君を見つけられないまま、生きていく。いっぱい苦しんで、いっぱい泣いて、いっぱい嘘をついて、生きていく。
 分かっているんだ。君は、私の夢の中の住人だから、現実になんて来てくれない。それでも、いつか答えを見つけられる日を信じて────
「いってきます。」
重いドアを開ける。────答えは、そこに立っていた。
「遅くなってごめんな。さぁ、逃げようぜ。」

 差し伸べられる、君の手を取る。
 あの夢のつづきを、私たちは今から、なぞっていくんだ。


#あの夢のつづきを

(久しぶりの更新になってしまいすみません!
まぁ、多分誰も私の作品なんて待ってないと思うけどね。でも、待っててくれる人がいたらいいな。
ちなみに、親友に裏切られたことと「課題出てない」って怒られたことは実話です。その後ちゃんと閲覧印押された課題返ってきたよ・・・)

1/12/2025, 4:15:54 PM