いす

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こぼれたものを、繋いだ手のなかに閉じ込めておく。ガラクタばかりが、繋いだ手のなかに閉じ込められていく。それでもこれは私たちの宝入れで、開錠のすべはさよならの言葉にある。
こんなところまで来てしまった、と思う。
繋いだ手は重く、あなたの大切な片腕を独り占めしてしまったという罪悪感も重く、その腕は時折私を引き寄せて戯れにキスなどをしてくる。
「さよなら以外の方法を考えてる」とあなたは言う。
ガラクタの宝たちをどうやら見たいらしい。私と分かたれずに見る方法を考えてくれてるらしい。私はとうの昔に諦めたというのに。重くなった腕で、さらに私の身体を引き寄せて、頭に口付けて、そこから深く息を吹き込んで、その吹き込まれた息に押し出されるかのように私の目から涙がこぼれる。こぼれた涙さえこの繋いだ手のなかに閉じ込めて、私は満たされて仕方がないのに、あなたはまだ飽くことなくいてくれるらしい。

12/10/2023, 1:37:40 AM