ひと

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声が枯れるまで


声が枯れるまで泣き叫んだ事がある。

大切な人との別れ。

あんなに泣いたのに、行かないでと願ったのに、

時が経てば、こんな事もあったよね、なんて言えてしまう。

忘れたくないのに、徐々に薄れていくあの人の声。

もう思い出せない匂い。

それでも、記憶の中のあの人はいつも笑っている。

忘れないで、そう言うなら、消えないでよ。

ずっと私の中にいてよ。

…いや、私が手放しているのかもしれない。

両の手からこぼれ落ちる砂のように、記憶も積もれば古い物からこぼれ落ちる。

こんな私を非情だと思うかな?

君を忘れゆく私を、君が居なくても笑っている私を、酷いやつだと思うかな?

…それでもいいや。そっちに行った時、お前には失望した!なんて叱ってくれよ。

勝手だけどね、君は私を覚えていて。

10/21/2024, 10:58:26 PM