でっかい男になるのが夢だった。
身体がでかいだけの男じゃない。
誰よりも強い剣士になって、冒険者として名を馳せて、海の向こうまでまたにかけた英雄になって、お姫様と結婚して。
所詮それは、一介の村人の僕には叶わない夢だったけど。
「あなた、もうすぐごはんができるから、テーブルの用意をしてくれる?」
「わかったよ」
愛らしい妻にこたえて、夕飯の支度をする。
布巾でテーブルを拭いていると、幼い娘と猫がじゃれてくる。
若い頃粋がっていた僕には勿体無い、小さな幸せ。
いや、最高の幸せさ。
2025/03/28 小さな幸せ
3/28/2025, 10:11:01 AM