「いーしやぁーきいもー」
「やーきたてーえー」
「ぃやーきぃーもー」
最後の焼き芋は見事なユニゾンだった。田舎のばあちゃんちで庭を掃いていたら結構な量の落ち葉があったので、さつまいもをアルミホイルで包んで投入したのが先ほどの話。
田舎は距離が近いのか、芋をせっせと包んでいたら子供2人が寄ってきた。ランドセルを背負っており、さっき下校を知らせるチャイムもなっていたので、帰宅途中なんだろう。
そして、さも当然のように包むのを手伝い、投入し、火をつけ、2人して石焼き芋の歌を歌っている。
「まだかなー」
「まだかなー」
「まだまだ」
ほっといたら生芋のまま食べ出しそうな怪獣2匹を宥める。小学校の先生ってすごい。
ぱちぱちと音を立てて葉が燃える。一瞬光り、じんわりと赤くなり、そのまま黒くなっていく。なかなか芸術的じゃないか。
「まだー!?」
「まだー!?」
怪獣2匹に芸術はまだ早かったらしい。うるさい。
「ほら、火傷すんなよ」
火が通ったであろう芋を渡すと、はふはふ言いながら食べ始めた。
「にいちゃん、ありがとう」
「ありがとう、にいちゃん」
にっこりと笑う2人は可愛らしい怪獣だ。
「ところでな、私ねえちゃんなんだが」
にっこりと笑いかえすと、化粧しろよと即答された。
デコピンをお見舞いした。
【燃える葉】
10/7/2025, 9:38:22 AM