ある夏休みの夕方、いつも通りの学童からの帰り道。私は家の方向で決められた4人の班の仲間内で決められた、あるルールに沿って帰っていた。
影だけ踏んで歩く。
暑い夏はできるだけ日陰を歩くようにするが、それがいつの間にかゲームになっていた。
下校路の最初の方は簡単だった。道が狭く影が多い。
しかし、大きな道に出ると途端に難しくなる。私たちはときに走る車の影を利用して、時に友人の影を利用して着実に進んだ。
暑い。
そこで気がついた。
なぜずっと日陰にいるのに暑いんだ?
そう、小学生であった私は、陰の涼しさは知っていたが、理解していなかった。
足だけ影を踏んでいても顔に日が当たっていることに気づいていなかったのだ。
しかし、私はそれでも影しか歩かなかった。
ルールを破ったら負けだから。
意味もないのに守られ続けているクソルールが完成する手順を垣間見たような、そんな瞬間だった。
それはそれとして、今でも日差しを避けようと何となくなく影を踏んでは意味のなさを思い出すなどしている。
1/29/2025, 3:58:20 PM