桔花

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・カレンダー
地球の一秒は、二百年らしい。それなら、地球とやらは、きっとすばらしくのんびりやに違いない。
カレンダーを恨みがましく見つめながら、少女はそんなことを考えた。
普通のカレンダーじゃない。カウントダウンカレンダー、と呼ばれるものだ。よく卒業式までの日数を数えたりする、アレ。
母の入院が決まった日から、少女はずっと、退院予定日までの日数を数えていた。
地球なら、こんな日数、瞬きするくらいの時間なんだろうな。ああ、うらやましい…

体感では無限と思える時間でも、着実にその日は近づいてくる。その日、少女は久しぶりに浮かれていた。
「おかえりなさいっ!」
大好きなお母さん。その腕には、小さくて柔らかそうな生き物。駆け寄った少女はその生き物を覗き込んだ。
「あなたの妹よ」
妹。星たちは、近くにあるように見えて恐ろしく離れているらしい。それなら、こんなふうに妹に触れることもできないんだろう。
私は人間でいいや、と思った。

9/11/2023, 10:04:04 PM