茜色

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私はずっと不安だった。
君と知り合って、友達になって、恋人になって。

どれだけ仲良くなっても、君はまるで雲みたいで。
私はずっと君のことが分からなかった。

お互いへの愛情は間違いなくあるのに、君と紙一重繋がれない感覚がもどかしくて、私は余計に君に夢中になっていった。

そんな風に不安になりながらも、君にのめり込むような日々を過ごしていたあの日。
君は、車に轢かれそうになった私を助けて逝ってしまった。

最後に君が、愛してるって言いながら私の頬を撫でた時、初めて君と繋がれた気がした。

言葉にできないような悲しみと同時に、私は溶けるような幸福と安心を覚えたんだ。

君と私の関係の終わりは、悲しいハッピーエンドだったのだろう。
君と心が繋がった気がしたあの時の幸せを、最後に君も感じてくれていたならいいのに。
痛みだけじゃない何かが、最期に君の中にも生まれたことを信じたい。

まだ、君の手が頬を撫でる感触が忘れられない。
君のことも君への気持ちも、到底忘れられるものじゃない。

それでも、君が私を助けて、これからの人生をくれたから。
私は少しずつでも進んでいく。

雲のようなふわふわした君にいつか、私のハッピーエンドな人生の話を聞かせるために。





テーマ『ハッピーエンド』

3/29/2024, 12:06:34 PM