ひらりと舞い散る桜が恋しくなってきた時、
多分私は怒っているようにも
困っているようにも
悲しいようにも見える
複雑な顔をしながら歩いていた。
寝不足…。
今週は早起きをしなきゃならない理由があって
そのせいであまり寝られない。
寝る時間を早めることも
昼寝をすることもできずに
ただただ寝不足のままで過ごすしか無かった。
下を向いて薄らと愚痴を零しながら
ずーっと歩いていくと
お姉さん、ちょいとそこのお姉さん。
花びらついてはりますよ。
と、
なんだか心地よい声が聞こえた。
顔を上げるとそこには
狐目の可愛い女の子が私を見ていた。
桜はまだ寒くて咲いてない。
なのになんで私に花びらがついてると…?
不思議に思ったし、
もっと声を聞きたいとも思ったけど
ここは一旦無視することに。
すると、
頭の上から被ったかのように
急に花びらが落ちてきた。
あらあら、花びらに埋もれてしもうて。
お姉さんお疲れとちゃいます?
なんでそれを、と言いかけたところで
お疲れなんやったら、ええ所紹介しますで。
私の友人がやっとる所やねんけどねぇ。
と言われ手を引っ張られた。
ついた店に入ると
そこは雑貨屋さんのようなところで
個性的な内装だった。
隅っこには小さなカフェもあって
気になりジロジロ見ていると、
フクロウに似た店員さんが
ちらりとこちらを見てから
虹色のケーキ、美味しいですよ、食べやすいし、
ほかの店より安いです。と
ケーキをおすすめしてくれた。
2つ買って、
紹介してくれたお姉さんと
フクロウに似た店員さんにお礼を言い、
店員さんは
"Good Midnight!"
と言っていた。
私は会釈をして店を出た。
いつもとは違う道から
いつもとは違う足取りで帰った。
寝不足も飛んでいくぐらい。
あの店に行ってから
なるべく上を向いて歩こうと思った。
下を向いてばかりじゃ
花びらが舞ってても見えないから。
3/3/2025, 3:38:12 PM