紅茶の香水とやらを近年見掛ける。
どうやら多種多様にあるそうだ。最近では某ハイブランドがブラックティーの香りに変化する香水を出したとか。
偶然見掛けた試供品を、興味本位で嗅いでみた。
ティーパックから香るものよりも少しばかり人工的ではあるものの、確かにそこからは紅茶の香りがした。
元よりお茶の類いは好きだった。これは悪くない、寝香水に調度良いと香水を手に取りレジへと向かった。
そして就寝前、自室にて嗚呼しまったと頭を抱えた。
──これ、清涼作用のあるボディミストだ。
試供品にばかり気を取られて本体にでかでかと載っている「クール」の3文字に気が付かなかったのだ。
嗚呼、なんて馬鹿なことを。じきに秋が来るというのに、どう使えというんだ。
試しに腕へ振りかけてみる。爽やかなアールグレイの香りは暫くの間、愚か者を冷笑していた。
10/27/2024, 8:06:29 PM